名古屋市エスカレーター条例

昨日、名古屋市で施行されている「エスカレーター条例」について視察してきました。この条例は、エスカレーターを「歩かず立ち止まって利用すること」を定めており、全国的にも珍しい取り組みとして注目されています。

条例制定の背景

名古屋市では、エスカレーターでの転倒事故が発生したことをきっかけに、以前から「立ち止まって利用しましょう」とポスターやアナウンスで啓発を行っていました。しかし、右側を歩くのが当たり前という固定観念を持つ人が多く、歩行をやめる人の数はなかなか増えませんでした。

実際、札幌市の地下鉄でも「エスカレーターの右側は歩くもの」と考えている人が少なくないと思います。私自身もそう感じることがありました。

エスカレーターの本来の役割とは?

エスカレーターはもともと、階段を登るのが困難な高齢者や障がいのある方が、安全に移動するための設備です。一方で、「急ぐ人のために右側を空ける」という慣習が根強く残り、急ぎ足の利用が当たり前になっています。

これは、高度成長期の頃、「急ぐ人のために右を空けましょう」というアナウンスが広まった影響が大きいようです。しかし、その慣習が事故やトラブルを引き起こしている現状を、私たちは再認識する必要があると感じました。

名古屋市の取り組みと成果

名古屋市では、罰則は設けていないものの、「エスカレーターでは立ち止まる」ことを条例で定め、さまざまな啓発活動を行っています。その結果、条例施行から1年が経過した現在、エスカレーターを立ち止まって利用する市民が増え、定着している様子が伺えました。

視察後、翌朝の名古屋市内の地下鉄でエスカレーターの様子を観察しましたが、ほとんどの人がきちんと立ち止まって利用していました。これなら、視覚に障がいのある方や高齢者も安心して利用できると実感しました。

条例がもたらす意義

この条例の意義は、単に「エスカレーターでは立ち止まる」というルールを守ることにとどまりません。それは、「障がいのある方や高齢者が安心して暮らせる環境づくり」という優しいまちづくりへの第一歩だと感じました。

視察を通じて、名古屋市の取り組みはエスカレーターだけに限らず、「他にも困っている方がいないか?」と私たち一人ひとりが考え、行動するきっかけを与えていると感じました。

札幌市でも考えたい取り組み

札幌市でも、このような条例の必要性や啓発活動について考える時期に来ているのではないでしょうか。視察を通じて、「面白い条例だな」と興味を持っただけでなく、その背景にある大きな課題にも気づかされました。今後の議会活動にしっかりと活かしていきたいと思います。

名古屋市のエスカレーター条例は、小さな気づきから社会全体を優しくする大きなきっかけを作る取り組みでした。これを参考に、札幌でも「誰もが安心して暮らせるまちづくり」を目指していきたいと思います。

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